第14話 社会人の義務

今年9月13日まで我が近畿地方では、連続35℃以上の炎暑が終わり、ほっとしているのは、広場に遊び出した子供達の表情である。

炎天下での街頭紙芝居は、6月下旬から3ヶ月も続く灼熱地獄だった。公園が燃えているのだ。熱中症などの心配もあり、一人の子供も公園に集まらない日があった。

朝晩秋風をともない、気温が2~3℃下がっただけなのに、実に敏感に反応するのが子供達である。

30年も続けて出演している北区の鶴満寺公園では、1~2年生女児が元気一杯だ。
緑陰の影の濃い公園の大地の広場に、本能にかき立てられ、家から思い切り飛び出して来た感じだ。

下校の午後4時半頃がピークで、公園一杯に動き廻る姿を見るのは、世直しが生じた位いに実にたのもしいものだ。
藤棚の緑陰で単車の紙芝居舞台をセッティングして、さあ~お菓子売りからスタートだ。

元気良く拍子木を打つと、20人位いの子供達の行列が出来る。6月から熱波の3ヶ月間、一度も公園に来なかったなつかしい1年生の女児の顔も見える。

時々来園していたPTAのお母さん方も5~6人集まり、それぞれ談笑されている。
やがて紙芝居の上演が終わり、子供達は三三五五友達を選び公園の中央へともどって行く。
メインはやはり、ドッチボール遊びだ。一度で多人数で遊べるのが良い。
すべり台中心にたわむれ合う群や、ブランコをするグループ。
広い公園が40人前後の子供達にすみからすみまで活用し生かされている。
公園が久し振りにに頬笑んでいるのだ。

ところが急にドッチボール組を中心に子供の群がくずれ出した。
やがて、パッタリと止まってしまう。
周辺のブランコ組やすべり台組もそわそわし出した。

やがて、2年生の女児二人が
「オッチャン助けて!。あの人ボールを取り上げて、追いかけるんや!!」

見ると精神障害の16才男児がいつの間にか来園していて、1~2年生のドッチボールを奪いだしたのだ。
ボールを渡さないと、その子を追いかける。怖いので逃げ回り、楽しかった群遊びが出来ないのだ。

PTAのお母さん達は見て見ぬ振りをして談笑して、何もアクションを起こさない。
仕方がない。そこで私の出番だ。
藤棚の下から飛び出して行く。

「低学年の遊びを邪魔してはダメだよ。ボールを返してやりなさい!。」
と普通に言っても従わない。取り返そうとしても、力一杯抱きしめていて、放さない。
相手の迷惑が分からないのだ。

そこで大声で怒鳴って、ひるんだすきにボールを取り返して子供達に渡した。
すると、その子を追いかけて行く。小学生は逃げ回る。
言葉で言っても本人は分からないのだ。
又も大声でビックリさせるしかないのだ。

すると反撃して来るので、公園から引きずり出して、彼の家に強制送還させたのである。
すると、見て見ぬ振りをしているPTAのオバチャン達の中から30台のPTAのオバチャンが

「おっちゃん、あの子は障害児なんだから、そっとして置かんといかんねん」
と言って来るのだ。
自分の子供がドッチボールの仲間に居なかった関係もあり、あまりにも身勝手だ。

「おばちゃん!。彼は凶暴性があるんだぜ!。
昨年は棒を持って、1年生を追いかけたこともあるんだぜ!。
怪我させた後では手遅れだ!。
怖い大人がいると感じさせないと、あの児は理解する能力がないんだ!。」
さすがに、PTAのオバチャンもだまってしまった。

家族も大変だろうが、我々社会人も、しては駄目な事は、駄目と感じさせ、指導する義務があるのだ。

学校内のイジメなども学校教師達も見て見ぬ振りをして、殺人事件まで起こしていた事を皆んな忘れては駄目だ。
事件はすべて前兆がある。
我が日本社会では、感じる力が良きにつき、悪しきにつき欠落している。

すべて文部行政の欠陥ではないか?。
勉強勉強で、理性能力が肥大化し、感性力が失われ行くことの現状を、我々は知るべきだ。

こんなPTAさん達のやりとりを見ていた子供達は、群れ遊びをあきらめ、早めに帰宅してしまった。

残された公園が悲しんでいるのが、PTAのおばちゃん達には絶対分からないだろうが、俺には痛感できるのだ。

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